ALL ROAD BIKE REVOLUTION書評
ALL ROAD BIKE REVOLUTION書評
このマニア向けの本は何なんだ?と手に取った著者ヤン ハイネさんの自転車本。
巷でいう 青い本。
ハイネさんは、みんな大好きパリブレストパリにおいて、北米参加者の中で”最速ホルダー”で
自転車タイヤやパーツのブランドRene HERSE の経営者であり、自転車雑誌 Bicycle Quarterly の編集長。
最速ホルダーというだけで普通の人ではないが、科学的な切り口とサイクリストの経験を織り交ぜて試験的なことに熱心な方である。
率直に感想ですが、読みにくいけどかなり面白かった。
読みにくさは複雑なマニアな内容の英訳が難しかったと思う。
完全に初心者向きでは無い内容ですが、深掘りしたいマニア向きの内容。
値段はというと3850円である。
安いか高いかは、あなた次第な所だが、295ページにわたりマニアな事が書かれておりました。
題名がALL ROADと言うだけあって、いわゆる何でも使えるオールロード、いわゆるグラベルバイク一台でいいんじゃない?と言われております。
日本とアメリカで路面や環境が全く違うので、何とも言えませんが
私もグラベル一台で十分楽しめないかい?と少し思います。
鳥になれる自転車
冒頭の言葉がとても共感できた。
“サイクリングは人間を鳥類の領域にまで高める“
平原を風を受けて走り、ダウンヒルでは急降下する猛禽類のように急降下する。
自分の心拍に合わせて自転車と一体になってまるで鳥の様に飛び回ることができる。
いつものサイクリングも「自分は鳥なのだ!」と想像しながら乗るといつもと違う感覚で乗れるかもしれない。
追い風で風を受けて加速する時なんかは、まさに鳥の様だ、自転車と風は友達である。
オールロードという考え
タイヤは細く高圧でなくても速いし、フレームも硬ければ高いパフォーマンスを発揮するわけもない。
言い換えれば、自分に合っているバイクであれば十分楽しめる。
9kgの自転車と10kgの自転車を比べても、自転車プラス自分の体重(例えば60kg)合計と、全体で考えたら1.4%しか変わらないのだ。
そう言われると、たっ大した事無いぜ、、
快適がパフォーマンスかの2択でないオールロード。 あると思います。
マニアな疑問に答えてくれる
ある程度、ロードバイクに乗っていると、さまざまな疑問が出てくる、
例えば、なぜ冬になると速度が出ないの? とか
650cのホイールと700cのホイールだとどっちが速いの?
クロモリ、アルミ、カーボン、どれがいいの? など科学的切り口で教えてくれる。
ありそうで無かった内容の本だなと思った。
自転車が趣味なら、疑問に思うのは当たり前で、パーツひとつ、体の動き一つで自転車の挙動が変わり、快適性が左右されるからね。

冬にタイムが落ちるのはなぜ。
冬に速度が出ないのは、空気の密度が高いので空気抵抗の増加、筋肉は血管が収縮して血行が悪化、タイヤは寒さで硬くなりグリップ力が8%も低下するそう。
そして冬の空気密度は、夏に比べて8-10%高く、自転車を遅くする抵抗の中で90%以上が人の空気抵抗みたいなので冬のウェアも影響する、
そんなこんなで、総合的に15-20%は遅くなるのかな?
冬って色々あるのね、フンフンと納得の内容である。
650cと700cはどちらが速い?
650bと700cのホイールはどちらが速い? 700cのホイールしか持ってないと別にそんな疑問を持つ事はないと思いますが、
グラベルバイクを持ち出してから気になっていました。
恐らく前提が舗装路ではなく、未舗装路の話だと思うけど(その辺がこの本の分かりずらい所)
650bのエアーボリュームが多いタイヤと700cを比べると、ホイール径を大きくしても速く転がるわけではないのは、ヒステリシス損失(路面と離れる際に接触が形に眺ね戻る事)を考慮すると、速さは変わらないそうです。
簡単に言うと、エアーボリュームが無い高圧のタイヤだと上に跳ねて、エネルギー損失するから650bでも700cでも変わらないそうです。
高圧タイヤはシビアに路面振動拾って、乗り心地も悪いし、長時間のライドだと疲れそうね。
いつの間にか、ホイールの大きさからタイヤのエアーボリュームに話がすり替わった気しませんが、、、、
個人的には、700cのチューブレスが好きです。
タイヤの太さよりケーシング
タイヤの太さは、29.5km/hという速度において、23mmと53mm幅のタイヤを比べても転がり抵抗はさほど変わらなかったそうです。
それよりも硬いケーシング(タイヤの中の糸みたいなやつね)の太いタイヤは、しなやかなケーシングのレースタイヤと比べても転がりは悪いそうだ。
しなやかなケーシングは軽量で速いが耐久性は無い、硬いケーシングのものは丈夫だが重く遅い。
多くのプロは25mmのタイヤを使用してますが、登坂や平坦のバランスを考えての事なのかな?
そのうち軽量なコンパンウンドが出てきたら、乗り心地がよく速い32mmくらいがメジャーになる日も遠くなさそう。
自分にあったケーシングを選んでね、ということみたい。
しなりの話
この本は内容が濃い、自転車はパーツや人間のポジションなどで速さや快適性に影響される合わ技。
ウォ〜、複雑すぎる。
その複雑なおもしろい話の中で興味深いのは、しなりである。
速さにおいて適所が適度にしなるフレームは、ライダーの出力を増大させ、自転車を速く走らせる。
体操のバネ床に例えると
「あなたの体力は同じでも、硬いコンクリート(硬いフレーム)よりもバネ床(しなるフレーム)のほうが高くジャンプできるし、疲労も少ない」
硬いフレームが一概に速い訳ではない理由がここにある。
完全に脚力によるので、硬いフレームをしならせる事ができる人は、最速でしょう。
一般人は適度にしなるやつ買いましょう。
後、タイヤもしなるので空気圧重要よ。
硬いフレームにチューブレスのタイヤのしなりで、乗り心地が良くなる場合もあるのはこのせいか。
しかし、メーカーがフレームのしなり数値を出してくれば、購入時に非常に分かりやすいと思うんだが、、、
なんか難しいのかな、
人馬一体
自転車、乗り手よりも軽い乗り物で、ライダーが原動力である。
回せば走る、目線を向ければ曲がる “人馬一体感“ が他の乗り物よりも強い。
著者は、自転車の真の性能を生かすなら「自転車の声に耳を傾けろ」(“Listen to the bike“)と言われております。
自転車の声が聞こえるには、時間が必要。
自転車のチューニング、ライディングスキルの向上は、より速く安全なサイクリングをエキサイティングにして続けるだろうと締めくくられております。
まとめ
はっきり言って自転車はコスパがいい事に決まってますが、ハイエンドフレームって憧れます。
いやもう細部までカッコイイです。
でも、高いが故に扱いが慎重になりすぎたり、乗り心地が悪かったりする場合もあるのかな、
(メーカーもそこそこでいいバイク作ってくれんかねっ)
値段ではなくて、自分に合った自転車を見つけたら、時間を長く付き合って
“自転車を自分に合わせて、自分を自転車に合わせる“ 様にお互い擦り合わせて行きたいと思わせてくれる本でした。
その他、面白い事が書かれておりますので是非。